広瀬隆氏の本を全部読んでいるわけではないが、
彼の講演を過去何度か聞いて、話し言葉こそが真骨頂の人ではないかと思っていた。
講演での彼の語りぶりは分析こそ緻密だが、
原発推進勢力への(演技では決してできない)本気の怒りと、
事態の悪化を止められない現状への悲しみに満ちており、
これは著作にはなかなか反映しきれない要素だと思っていたからである。
2011年4月30日の広瀬氏講演の講演録である本書には、
当日の熱気が生々しい形で保存されている。
読んでいると、自分自身の一旦は収まりかけていた東電、政府に対する怒りが
再び3.11直後のように沸き上がってくるように感じられる。
広瀬氏の言うとおり原発事故は現在進行形の事態でもあり、
そのせいで一部の内容は早くも古くなっているかもしれない。
だが文中、「私の推測ですが」と断りを入れた上で語られている事故原因などは、
その後の報道で広瀬氏の推測通りであったことが明らかにされている。
その慧眼に、改めて感じ入らされる。