冬ごもりも近くなった頃、鳥たちがみんなで暖かい南の国へ渡っていくと聞いたくんちゃんは、「いちどだけ…… ぼくもわたって」いくことにします。でも、帰り道の目印にした松の木まで駆けあがるたび、くんちゃんは忘れ物や必要なものを思いつき、家へもどっているうちに…… 。
「だいりょこう」というからにはどこまで行くのかな、と思いましたが、小さな子どもにとっては、南のほうへ歩き出すことさえ「だいりょこう」なんだなあ、と微笑ましくなります。それに、最初の忘れものが「おかあさんにさようならのキスをしてこなかったこと」というくだりには、ぐっときました。「やらせてみなさい」と快く許してくれるお父さん、「すいとうにつめたいみずをいれてくれ」るお母さん。くんちゃんシリーズは、くんちゃんの純真さに打たれるとともに、遠くからそっと見守る両親の姿にも感動させられます。
そして、このシリーズは、素地の白とペンの黒、そしてアクセント一色の三色絵本なのですが、今回はブルー。近づく冬の寒さと、鳥が渡っていく広い空、澄み切った空気を思わせて、とてもすがすがしい。それに最後にはくんちゃんの安らかな寝顔が見られて、やっぱり幸せな気分にさせてくれます。