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23 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
自分と訣別して、生き直す自分は一体誰なのか?,
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レビュー対象商品: くらやみの速さはどれくらい (海外SFノヴェルズ) (単行本)
自閉症者ルウ(35歳、男性)の視点で書かれた物語。時代は近未来に設定されているが、現代とそう変わらない様子の世の中。ただ違うのは、自閉症が幼児期に治療すれば完治するものになっているということが、話の核になっている。ルウはその治療法が確立される前の最後の世代の一人なのだ。 親兄弟は既にいず、天涯孤独の身の上の彼に難題が降りかかる。 自閉症者といっても、ルウは日常生活のレベルでは、現代よりも進んだ治療の結果、製薬会社に勤め応用数学者として自己の才能を発揮できる仕事をこなしている。 文体は、決まった好みと手順を踏んで行わないことには日常の収拾がつかなくなることを経験的に学んできたルウの、聞く見る考える言葉にする等々の、読み手あるいは健常者に向けての翻訳めいた言い回しが独特だ。 光の果てる処には既に闇が居座っている。だから、暗闇の速さは光を凌駕し得ているはずだと考えるルウ。 人としてどう在れば、他者と共存できるのか。健常者とは一体どういう状態を言うのか?震撼させられた。
9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
ここちよい小説です,
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レビュー対象商品: くらやみの速さはどれくらい (海外SFノヴェルズ) (単行本)
自閉症の治療が実現している近未来が舞台の小説。治療法が確立される前に生まれた自閉症のルーは、成人自閉症者の治療を試みるよう職場から半ば強制されるのですが、彼は数学に天才的な才能を持ち、周りの人々からも愛されている。はたして、治療を受けることが幸せなのか、そうでないのか。 自閉症者の視点で語られるこの作品を読んでいると、ノーマルだと思っている自分自身も、他者と同じパターンで思考しているのか考えてしまいます。 主人公の思考パターンは素直で、疑問は疑問、まちがいはまちがいと考え、優柔不断な健常者の言動を不思議に思いながらもうまく適応して社会の一員として生活しており、愚直なまでの素直さには温かい感動を呼び起こされます。 なにに引きつけられるのかよく分からないのですが、この本が持つ不思議な温かさと、読後の寂寥感が印象に残り静かな感動に浸ることができました。
16 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
前に進む,
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レビュー対象商品: くらやみの速さはどれくらい (海外SFノヴェルズ) (単行本)
自閉症の青年ルゥは、製薬会社で働いている。彼が所属するチームのメンバーは自閉症者で、その能力を生かした特殊な仕事を受け持っている。会社は彼らの能力を十分に発揮してもらうためにジムなどを設置していて、メンバーは仕事の合間に音楽を聴いたり体を動かしたりしている。 ルゥは真面目に働き、きちんとした生活をしている。けれども、周りの人間(「ノーマル」と彼が呼んでいるところの人々)は、時にルゥたち自閉症者が特別扱いされていて、そのために自分達が不利益をこうむっているなどと言い立てる。公共の場所で人目に立たぬよう気をつけて行動し、「ノーマル」達のやり方に出来るだけ合わせて暮らしている彼らを、まだ足りない、もっと自分達のやり方に合わせろ、とさらに追い詰めようとする。 そんな状況に置かれている自閉症者たちのもとに、実験段階の治療方法の話が舞い込む。会社側がこの治療を受けて「ノーマル」になれ、さもなくばクビだ、と圧力をかけてくるのだが、自閉症者としての自分こそが自分なのであり、「ノーマル」になった自分はもはや自分ではないのではないか、と彼らは悩み苦しむ。 最後に主人公ルゥが下した決断には驚き、その後の展開にはさらに驚きかつ感動させられる。これは自閉症者の物語の形をとっていて、実は我々全てにあてはまる物語だ。
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