たいせつな誰かを喪失した悲しみを知ってしまったこころ。
それを癒すのは悲しむことを否定しないことであり、
「時間薬」が効いて来るのを待つことでしょう。
そうしてあしたへの一歩を踏み出せるようになるまでの
残されたものの姿が、この絵本には描かれています。
死んでしまったことりをうつくしい箱に入れて肌身離さず持ち歩くくま。
ほんとうにたいせつに思っていたことがよくわかります。
モノトーンのなかにほんの少しピンク色が使われていて、
思い出がいきいきと蘇るさまや、再生して行く様子が効果的に暗示されています。
読むもののこころの中にも、灯りがともります。
ほとんどの作品で「死」を題材にしてきた湯本香樹実さんの物語に
酒井駒子さんが静かでうつくしいイラストを沿えました。
子どものためというよりは「喪失」を知っている大人のための絵本です。
残念なのは、帯に「感動の絵本」とわざわざ銘打ってあったこと。
読者はそんなに鈍感ではないし、感動は教えられて覚えるものでもないはず。
このような売り方はいいかげん食傷気味です。
出版社には再考をお願いしたいです。