長崎県は五島にある中学校の合唱部を舞台にした青春小説。Nコン(NHK全国音楽コンクール=合唱)の
課題曲にもなった「手紙〜拝啓十五の君へ〜」をモチーフに少年少女達の心の揺れを描いています。
・手紙と言うアイテムを利用して、自分と向き合わせるという構成。
・恋愛や葛藤を通じて少しずつ大人になるという流れ。
・登場人物の描写。
・歌うことの楽しさも伝わってくる。
・主人公の兄(自閉症)を通じて、最後に知らない人同士が(ほんの一瞬だけど)繋がる…
どれも決して悪くはないのです。どのシーンも絵が浮かんできます。「手紙〜拝啓十五の君へ〜」も
聴きたくなりました(最後の部分は、YouTubeで見つけたものをBGMにして読んだ)。
ただ、期待したところには届かなかったのです(求めているものが違うのかもしれません)。
どうも、書店員が絶賛と言う煽りで手に入れた本は自分にとってハズレが多いです。この本も
ストーリーの積み重ねは良いのですが、細部で粗が見えるのです。
例えば…
・Nコンに一生懸命取り組んでいる…という描写の割には、土日は練習しない。
(大会で上位入賞や先を目指している団体は、土日返上で練習する)。
・複数の登場人物のモノローグが挿入されるが、誰のそれなのか分かりにくい。
(特に前半部)
・自由曲は或る理由でこの合唱部オリジナルのものになったのですが、その歌詞は不明。
モチーフにした課題曲「手紙〜拝啓十五の君へ〜」に重きを置いているのでしょうが
自由曲をどうする?と言う点も、皆が○○する、という点に寄与している点を踏まえると
触れずにあっさり進むと言うのは、どうも納得がいかない。
と言う訳で、(新聞広告から期待させられる)「泣ける」には一歩が足らない一冊でした。
良いところが多数ある故に本当に惜しいです。