生きがいが見つからない、いい恋愛ができない、本当の友達がほしい等、身近な「くじけそうな時」のための「処方箋」。
「生きるということじたいにどこか病のようなところがある」、「「治る」ということにも懐疑的であって」ほしいというスタンスのせいか、説教臭さのないソフトな語り口が心地よい。とはいえ、一読では消化できない手ごわい考えもあり、しばしば立ち止まってしまう。とりわけ「皮膚と衣服のあいだ」という「あいまいな地帯」の分析から、現代社会を見事に読み説く第四章「容姿が気になる時に」は必読。
「食べる、飲む、話す、笑う、歌う、キスする」というように「幸福は口で感じられる」し、逆に摂食障害や、辛い時には話す気力がうせるように「不幸も口に出る」、という指摘にはハッとさせられた。
人は誰でも「何の条件もつけずに」「@@してもらった」という経験がある。そういう「幸福の実感がどこかにあるから」こそ誰かを信じて生きていける、という鷲田氏が一貫して主張してきたことこそ、永遠の処方箋かもしれないと感じた。