本好きばかりが暮らす栞ヶ浜という不思議な町に引っ越してきた主人公・魚住遊紙は、一読した書の内容を決して忘れないという特技を持つ十六歳の少年。 遊紙はその不思議な町で紙魚(シミ)という文字を食う魚に導かれ、「森」(図書館のような場所)を守る森人の少女モリと出会う。
今作は、「本」をキーワードに主人公の遊紙の日常的なエピソードが描かれています。 味のある世界観を、作者が楽しんで描いているというのが伝わる緻密な絵は溜息ものです。絵柄はやや80年代を感じさせる古い絵柄ですが、雰囲気は良いです。
欠点は「分かりづらいこと」でしょうか。気になった点が二つ。 一つ目は人物のセリフとモノローグが入り組んでおり、内容が分かりづらいこと。人物のセリフとモノローグを別々に読まないと私は混乱しました。 二つ目は設定の説明不足でしょうか。事柄が曖昧に片付けられていている部分もあるので、「どうして?」と疑問に思ってしまいます。(これが伏線なのかは今後の展開次第だと思います)
ただ、世界観と設定はとても素敵なので、イラスト的な緻密で雰囲気のある絵と『本』というキーワードが気になっている方は是非ご一読下さい。