中学生の頃、おーなり由子のコミックを好んで読んだ。小学生の頃は、叙情的でメルヘンティックなおーなり由子のマンガがよくわからなかった。この作品で初めておーなり由子のエッセイを読んだ。うれしかったのは「さんぽの時間」。ある季節に突然襲ってくる懐かしくて胸が締め付けられるような感じを、他の人も持っているのかどうかずっと知りたかったけれど、今までうまく言葉にできなかった。おーなり由子はそれをうまく言葉にしないまま表現していて、「わたし以外の人もあんな風になるんだぁ」とものすごく得心してしまった。言葉にできない感じを言葉にしないまま表現するなんて!好きな人にはうれしい一冊。できればおーなり由子のマンガを読んで気に入った人に読んでもらいたい。