松樹剛史さんの作品を読むのは、「ジョッキー」「スポーツドクター」
「GO-ONE」に続き4作目ですが、デビュー作から一貫しているのは、
綿密な取材に基づいた現場の実態や、抱えている問題を描きつつ、
エンターテインメントというオブラートに包んでいる、という点だと
思います。
本作のテーマは地方競馬であり、競馬場で厩務員として働く青年と、
女性ジョッキーが主人公です。
夢を失ってしまった青年・啓は、たまたま出合った女性騎手・奈津の
レースに魅了され、彼女をサポートするために厩務員になる・・・
というプロローグは、正直”雑”な印象を受けましたが、その後は
テンポ良く進みます。
「ジョッキー」では恋愛の要素もあったため、ちょっと詰め込みすぎの
感がありましたが、本作は男女といっても恋愛要素はほとんどなく、
競馬の比重が高くなっています。
また、若き女社長の登場など、多少、ご都合主義的な部分はありますが、
登場人物は総じて魅力的であり、また、「世の中、甘くない」という
展開でもあるため、違和感なく読み進めることができると思います。
1冊だけでも物語としては完結しているのかもしれませんが、
啓や奈津の更なる活躍を見てみたくなりました。続編希望です!