私の大好きな西原理恵子が2009年〜2010年にかけて雑誌「野生時代」に連載した漫画。体裁は童話絵本といった具合です。
描かれるのは発展途上国に暮らす経済的にかなり苛酷な生活を強いられている子どもたちの日常です。日銭を稼ぐことに追われて満足に学校にも通うこともないだろう子。ゴミの山で育ち、食事はクズ野菜や小さな肉と卵のぶっかけめしという子。そんな子供たちをめぐる15の短編です。
豊かな外国人旅行者たちは貧しい彼らの暮らしぶりを見れば「地獄だ」と言い、彼らを取り巻く豊かな自然を目にすれば「ここは天国だ」と言います。
私たち外国人たちの罪のない無邪気さからくる言葉だとは思うのですが、それを指弾するかのような描写にはどうにも居心地の悪さを感じないではいられません。
本書の描く子どもたちの目線にどうも違和感を抱くのです。
この子どもたちの目線にはどこかに、先進国の生活環境をどこかで見知っている大人の目線が混入しているような印象を与えます。経済的に厳しい自分たちの生活とは隔絶した何らかの豊かさが山の向こうに存在しているというある種の知識が底に横たわっている気がします。また、この世の地獄のようなスモーキーマウンテン(大量のごみが集積されて、化学反応を起こすために煙があがる場所)に沈む「夕日がまっ赤できれい」と愛でるだけの、妙に大人びた感応力が描かれています。
さらに、抜け出せない貧しさの中で子どもたちが、神が自分たちを放置しているかの思いを抱いているかのように感じるさまも、どことなく先進国の大人の目線を見てしまうのです。
ことほどさように、子ども自身の目線を切り取ったというよりは、発展途上の国々の貧しき子どもたちがこう感じていてほしいという大人の願いのようなものが迫って来る思いがします。そこにフィクションを感じてしまって、私はなにか心が添わない気持ちをぬぐえませんでした。