死刑そのものについて書かれているのは最終の4章だけで、死刑を生み出した政治的歴史的背景や冤罪・無罪推定と報道、裁判員制度の欠陥や矛盾、95年のオウム事件や9.11の後に不安に駆られた多くの人が治安維持の観点から厳罰化を叫ぶようになった事など、いわば外枠から死刑・殺刑制度について解説している。< /div>
著者は理由が何であれ人を殺すこと自体に反対であり、結論としては、「人はどんなときでも人を殺してはいけない。」と結んでいる。
勿論その理由にしても挙げてはいるのだが、死刑存置派にとっては生ぬるく映る面もあろう。
ともあれ死刑に関して米のように執行場面に至るまで公開するのは、税を使っている以上当然だし、公開しない事によって不安をあおり、死刑を存続させたい政府に無批判に乗っかっていて良いのかとも指摘する。
しかし、存置派は、「被害者遺族の身になり、リアルに想像できるのか?」との著者の問いに「当たり前じゃないか。」と答えるほどに想像力が欠如している。
もしそうであるならば、死刑を望まない遺族がいれば彼らをバックアップし、死刑判決に対する再審請求なり反対運動もすべきではなかろうか?
本書は中高生向きであり分かりやすいが、物足りないと感じるむきもあろう。
そんな読者は、著者と存置派の藤井誠二との共著である「死刑のある国ニッポン」 をお勧めする。