全体を通じて、著者らのきのこに対する愛着と、多くの人にきのこに興味をもって貰わんとする使命感が伝わってくる。
本書にはきのこ約350種の解説に加え、きのこを採集する際のノウハウについて、服装や小道具から記録のとり方、標本の作り方、更には写真の取り方のコツまで、判り易く具体的に説明されている。
きのこは、生理活性や毒性の有無など、食品としての研究は少なくないが、その生態については大部分が未解明である。本書は、“生き物としてのきのこ”の観点から、未来の研究者に対して贈られた教科書であり、きのこ研究への勧誘である。
著者は言う。「きのこを知るために必要なものは特別な器具や施設ではなく、疑問に思う心と解明のための努力だろう。」(154p)
蓋し至言である。しかし分っていないことって多いんですねぇ。