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きちんと逃げる。―災害心理学に学ぶ危機との闘い方
 
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きちんと逃げる。―災害心理学に学ぶ危機との闘い方 [単行本]

広瀬 弘忠
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商品の説明

内容紹介

震災は終わっていない!未曾有の大災害ははじまったばかり。
危機に直面したとき、人はどう考え、どう動いたのか?
「自分だけ逃げるのは、卑怯」は、なぜダメなのか?
「想定外」という言葉に隠された嘘とは?
災害心理学研究の第一人者が「生き残る」ための教訓を緊急提言!

【緊急提言!】
●「最悪のシナリオ」を想定するクセをつける
●「誰かが守ってくれる」幻想をさっさと捨てる
●原発事故は“10年に1度”と心する
●「災害時はパニックが起きる」はまっ赤な嘘
●放射能汚染はこれから数10年間続く

内容(「BOOK」データベースより)

危機に直面したとき、人はどう考え、どう動いたのか?「自分だけ逃げるのは、卑怯」は、なぜダメなのか?「想定外」という言葉に隠された嘘とは?災害心理学研究の第一人者が、「生き残る」ための教訓を緊急提言。

登録情報

  • 単行本: 160ページ
  • 出版社: アスペクト (2011/8/24)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4757219709
  • ISBN-13: 978-4757219700
  • 発売日: 2011/8/24
  • 商品の寸法: 19 x 13 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
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By 西岡昌紀 VINE™ メンバー
−−国や東京電力が事態の収束を目指して、懸命な努力を続けていたことはわかる。しかし、放水作業にせよ、汚染水処理にせよ、スムーズに事が運んだことはほとんどない。迷走し、つまずきながら、どうにか対処している状態だ。にもかかわらず、計画通り事が運んだ場合や、万事うまくいった場合のことしか示さない。計画通りいかない場合はあるのか、その場合どんなリスクが考えられるか、そのリスク対応はどうするつもりなのかなど、うまくいかないときのシナリオについては口を濁すのである。放射性物質がどれだけ拡散するかに関しても楽観的な見解しか示そうとしない。こうした政府・東京電力の姿勢は国際的にも批判の対象となっている。・・・(中略)・・・・ 彼らが事故をひたすら矮小化しようとするのは、社会が混乱するのを恐れているからだと思う。しかし、それは彼らがあまりにも災害心理学における“常識”を知らずに下した稚拙な判断だと思わざるを得ない。なぜなら、大きな災害に遭遇した大衆がパニックを起こして、社会的混乱をきたすことなど、ほとんどあり得ないというのが専門家の間では常識だからである。事実を知らせると国民がパニックになる。だから事実を隠しておこうというのは、あまりにも国民を愚弄した話だ。世間には、地震や火事などに巻き込まれた人々は、その多くがパニックに陥りお互いに先を争って逃げようと行動するため、ますますひどい状態につながってしまうという見方が多い。しかしこれは大きな誤解であり、ほとんどの場合、惨事に巻き込まれた人々は、異常行動としてのパニックを起こすことはない。識者の間では、この災害とパニックを安易に結びつける世間の常識を揶揄して「パニック神話」と呼ぶ。このパニック神話を信じたために、大きな惨事を引き起こした例もある。1977年5月、アメリカ・シンシナティで発生したビバリーヒルズ・サパークラブで発生した大火災がそれである。アメリカ火災史上でも二番目という多くの犠牲者を出したこの事故は、客がパニックになることを恐れた従業員が発した「ボヤですから心配いりません」という言葉がもたらしたといってもいいだろう。実際よりも過少に伝えられた火事の状況に安心した客たちが、避難するタイミングを逸し、逃げ遅れてしまったのである。こうした過去の例を見ても、この時点で事実を矮小化しようとした政府の対応がいかに誤った判断にもとずいていたかということがうかがえる。−−(本書53〜56ページより)

 本書の著者広瀬弘忠氏は、1942年生まれで、東京大学心理学科を卒業した後、東京女子大学の教授と成った災害心理学の専門家である。本書は、その広瀬氏が、その災害心理学の専門家の立場から、今回の東日本大震災とそれに続いて起きた福島第一原発の事故を分析した極めて価値の有る一書である。上に引用した「パニック神話」への批判もそうであるが、災害心理学の立場から見て、これまでの日本の原子力行政にいかなる問題点が有ったか、そして、今回の原発事故における政府・東京電力の行動にいかなる問題が有ったかを理由と共に指摘し、何を学ぶべきかを論じた建設的な本である。
 考えさせられた箇所は多々有るが、特に、非常時における「正常性バイアス」の問題には深く考えさせられた。今回の原発事故における「社会的手抜き」について、著者の考察が無い事だけは残念に思ったが、これは、私の愚見に過ぎないだろう。つくずく思ふ事は、日本政府も東京電力も、戦争中の政府・軍と同様の稚拙さから全く進歩して居ないと言ふ事である。その事の恐ろしさを感じずには居られないのは、私だけだろうか?本書が、一人でも多くの人に読まれる事を切望する。

(西岡昌紀・内科医/東日本大震災から半年目の日に)
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