死因のトップであり続け、なお人々の恐怖の対象である癌。めざましい癌治療の進歩とは裏腹に、日本の癌患者への医療側の配慮は以前として膠着したものである。臨床経験も人生経験も未熟な医師たちによって癌の告知が機械的に、冷淡になされ、そのフォローもないままに右往左往するがん患者たち。ホスピス、緩和ケアが医療保険で認められ「ビジネスになる」として参入した病院、その多くが「ホスピスは病院ではありません、医療は期待しないで下さい」とまず釘をさす。この本は、そんな風にマニュアル的にがん患者を扱うのではなく、ホスピスでもがんばりたい人はがんばってもよい、安らぎを求める人には安らぎを提供する。ホスピスでBBQをしてしまう、鎌田氏。そんなフレキシブルな思考と行動力こそが、がん患者を人間として扱う本当のターミナルケアではないだろうか。日本の緩和医療に欠けている本当の優しさを教えてくれる一冊。確固とした宗教観や死生観のない多くの日本人の不幸が浮かび上がる。