―がん患者にとって希望の光―
がん対策基本法が施行され、国はがん死亡を20%減らす目標を掲げています。
がん罹患者がよりよい医療を受けるために、何が必要なのでしょう。
日本人の2人に一人ががんに罹患し、3人に一人ががんで亡くなる現在でありながら、がん免疫療法に健康保険が適用されているものはほとんどありません。この樹状細胞療法も現在は、残念ながら健康保険では受けられない治療です。
しかし、この21世紀初頭に、手術、放射線、抗癌剤化学療法に次ぐ、科学的根拠に基づく第4の治療選択肢「樹状細胞療法」が生まれたことは、重症のがん患者にとって大きな福音です。
主著者である岡本正人氏はこの樹状細胞療法の第一人者です。
人間は約60兆個もの細胞でできています。オーストラリアの免疫学者でノーベル医学・生理学賞を1960年に受賞したフランク・バーネットらの研究によると、若くて健康に見える人の中でも、じつに、毎日3,000〜5,000個ものがん細胞が生まれており、それでも、すぐにがんが発生しないのは、いうまでもなく免疫機能が働いて、早期にがん細胞を排除しているからなのです。しかし、この自然に備わったがん細胞に対する免疫力も15歳をピークにして年齢とともに弱くなるといいます。がんと闘う最先端医療は、この「元々自然に備わった免疫システムの力」を様々に最大限に生かして治療を展開します。
「樹状細胞療法」は、樹状細胞が「プロフェショナル抗原提示細胞」で、今までできなかった、がん細胞がどのような抗原を有するかをTリンパ球へ提示し、がん組織にキラーTリンパ球などが集まり、がん細胞を攻撃するというシステムを実用化したがんの治療方法です。この新しい免疫療法は、国立感染症研究所に所属していた赤川清子博士が、血液中の単球にインターロイキン4とGM-CSFというサイトカインを加えて1週間培養すると、未熟な樹状細胞に育つという世界中が注目する大発見をしてから、安全で治療効果の高い方法へと発展をとげました。その後、東京大学医科学研究所付属病院や徳島大学付属病院、大阪大学などで応用治療法の研究が進み、様々な改良が加えられて現在に至っています。
「混合診療の問題」を考えると、本来なら、この治療にも健康保険が適用されるべきですが、少なくとも、癌を発見したら、早くこの「樹状細胞療法」などの「免疫療法」について、第4の治療法として、罹患者への情報提供が行なわれる必要があります。
本書はがん患者にとっての希望の光です。
がん死亡を減らすために、この樹状細胞療法を中心とする新しい免疫療法に寄せられる期待はますます高まることでしょう。
だれでもわかる最新のガン免疫療法―樹状細胞療法が切り開く近未来インフルエンザのようにがんは「ワクチン療法」で解決できる