この本の著者は、幾つもの世界的に重要な研究成果で知られる、優れた生化学者である。その成果の一つが、ヨーロッパで民間薬として知られていた蜜蜂の巣材であるプロポリスの成分に、がんを治す働きがあることの発見であった。この発見の素晴らしさが災いして、著者は追われるように日本を去り、米国で苦労を重ねる中、大腸がんを発症してしまう。自らを実験台としてプロポリスを使い、健康を取り戻した著者は、人間が本来有する自己治癒の力を徹底的に排除する現在の医療の有り方を根本から問い直す。平易な言葉をつかった真摯な文章には説得力がある。しかし、私たちの観念は、病気や薬といった現在の医療の考え方に凝り固まっているようである。そのため、一読しただけでは、著者の真意が十分に理解できていない恐れもある。折に触れ読み返したい本である。