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がんと闘った科学者の記録
 
 

がんと闘った科学者の記録 [単行本]

戸塚 洋二 , 立花 隆
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

ニュートリノ観測でノーベル賞を確実視されていた物理学者が、最期の11ヵ月に綴った病状の観察と死に対する率直な心境。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

戸塚 洋二
1942年静岡県生まれ。理学博士。65年東大物理学科卒業。72年同大大学院理学系研究科博士課程修了。88年東大宇宙線研究所教授に。98年世界で初めて素粒子ニュートリノに質量があることを発見した。2008年7月10日逝去。従三位に叙せられる。仁科記念賞、ブルーノ・ロッシ賞、ヨーロッパ物理学会特別賞、パノフスキー賞、ベンジャミン・フランクリン・メダルなどを受賞。2004年、文化勲章を受章

立花 隆
1940年長崎県生まれ。64年東大仏文科卒業。同年、文藝春秋入社。66年退社し東大哲学科に学士入学。在学中から評論活動に入る。74年の「田中角栄研究―その金脈と人脈」(「文藝春秋」11月号)は首相の犯罪をあばいて社会に大きな衝撃を与えた。人文、社会、科学など、その活動範囲は広い。菊池寛賞、司馬遼太郎賞などを受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 366ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2009/05)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4163709002
  • ISBN-13: 978-4163709000
  • 発売日: 2009/05
  • 商品の寸法: 18.8 x 13.6 x 3 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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感動 2011/7/9
By これでいいのだ トップ500レビュアー
形式:文庫
 スーパーカミオカンデ(岐阜県)での観測・研究・組織運営そして事故後対応等で忙殺されていた折、ひとりウイスキーをストレートでぐいぐい呷って寝酒にしていたことが、戸塚先生自らが認める「がん発症の主因」のようだという。その大腸がんの発見・手術から7年。入退院を繰り返し、公職から自ら身を引き、肺や骨、さらに脳への転移が判明する前後から、戸塚氏は匿名のブログで闘病記、そして宗教論・科学論、さらにカラー写真を満載した草花の観察記を残していく。本書はその戸塚氏と10回近く面談・痛飲した旧知の立花氏が、死の直前の戸塚氏との対談(08年8月の「文藝春秋」所収)の一方、膨大なブログ遺稿の中から、できる限り順序立てて、さまざまな項目を抜粋・編集していったものだ(文庫では、戸塚氏と東大空手部で一緒だった垣添・元国立がんセンター総長が解説を執筆)。

 さて、その記述の中心になるのは、末期がんに対する化学療法、つまり抗がん剤の選択と、その副作用、実質的な効き目などについての観察で、戸塚氏のすごいところは、自ら医師にデータの提供を求め、実験物理学者ならではのグラフの作成と厳密な解析を繰り返し、しかもその作業を足場にした「がん患者の闘病記録のデータ化と、全国一律的なデータベース化」を提唱しているところ。同時に、当然その記述には「死」を前にした心境、宗教に対する意識の動きなども淡々と記されており、感情の揺れ動きを窺わせる箇所もなくはないものの、総じて恐ろしく冷静で、まるでひとごとのように死期が近づいていることを予期し、最期を迎えようとしているところだった。これは確かに、常人の及ばざる力技とも言うべきで、評者など、そうしたくだりを読みながら、何度も「戸塚先生はすごい人だったのだな」と唸らされた。
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16 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
ノーベル賞に一番近い日本人といわれた物理学者 戸塚洋二氏の闘病記録をまとめたもの。闘病記録は、本人がブログで発表していたもので、世界の頂点に立つ科学者らしくデータや治療薬名と投薬量、副作用の状況に至るまで、詳細な記録が示されている。自分は癌であるのに感情的になることがなく、客観的に病気と自分の身体を分析している。また、著者のすごいところは、自分の専門と癌のことだけではなく、草木のこと、仏教のことなど他分野に関しても学者級の知識を持っていることだ。優秀な科学者の探求心、好奇心の高さに感嘆させられた。立花隆氏の視点から、とてもよくまとめられた素晴らしい一冊。
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12 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
自分が末期癌になったため、色々な人の癌の闘病記を読んでいる。その中で、私にとって今まで一番ためになったのは、ご主人の前立腺癌の闘病をまとめた紅葉さんのブログ(本にはまとめられていない)と、本書であった。どちらも科学者が書いたもの故、データ重視、客観的な視点から治療の経過について書かれており、癌の標準治療の効果を記録した読み物として、信頼度が高い(とはいえ、死を目の前にした重篤な病気故に、常に客観的でいられるわけはなく、心の動きも控えめながら書かれているが)。

多くの癌患者さんのブログは、代替治療を併用していたり、データを分析する力に欠けている(自分が死に直面している状況ではそれも当然と思うが)ため、投薬量がどの程度だったのか、抗癌剤が効いているのか、抗癌剤の副作用はどんなものがあるのか、標準治療以外に選択肢はなかったのか、など、読んでいて分らないことが多いのだが、患者本人が最良と信じる治療方針に従い、最後まで癌と闘った記録として、今癌を患っている多くの方に非常に有益だろう。また、学業半ばで(それもノーベル賞ル受賞も近いと言われていた状況の中で)死に直面した人間の精神のあり方を深く知ることができ、興味深い。

大学者としての著者については、全く知識がなかったが、立花隆の極めて分りやすい解説により、理解できた。惜しまれる死。ただ、本書が残ったことで、ご本人も天国で満足されているのではないか。
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