せっかく相思相愛になったのにウテナ姉さんのデレ成分が少ないなぁとか、夙川さんやななみを巻き込んでのラヴバトル的修羅場がもっとほしいなぁとか、いろいろ物足りないところもあるのだが一応の完結である。病を克服した美千緒が、その成果を元に夙川さんを救出に行く展開と言えようか。しかし、童話をモチーフにしながらも、これだけ趣味全開でハチャメチャな展開をよくもまぁ思いつくものだと感心する(若干呆れ含みの感心ではあるが)。しかも、悪役のセリフを良いことに、結構ダダ漏れな本音を忍び込ませて言いたい放題でもあったりする。「一部の人達に喧嘩売ってない?」と少々心配もしてしまうが、ある意味これがシリーズ最終局面のテーマに関わってきたりもする。人の内面に潜む闇。善と悪は単一のものではなく同居するもの。悶々と渦巻く欲望。こうした諸々の事柄が見え隠れするのが人間であり、綺麗事だけでは済まされない部分、時には「清濁併せ呑む」ことも含めてこれらを受け入れ、それでもなお前に進む、乗り越えていくことの逞しさを示しているようでもある。夙川さんのキャラが単に設定ではなく、物語の核心に重要な役割を果たしていたのは秀逸だったが、それだけに、できれば触れてほしくないような、人の心の奥底にまで踏み込んだやり取りが交わされているので、ラヴではないが相応に修羅場的な様相を呈する展開である。かなり読み手を選ぶ作風とは思うが、何だかんだ言っても割とまともなところに着地して大団円にもっていくのが本田作品の不思議さである。でも、あの野球カード対決や麻雀対決がよく分からなくて困った読者も多いんじゃないかなぁ?阪神ファンと思しき作者があれだけ横浜ベイスターズに(自虐的に)傾倒して頁を埋めていく筆致は痛快だったが。