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忘れていたものを探しに町にさまよい出たがいこつさん。
最後の手紙を出したのはもうとっくの昔のこと。
待ってくれている人もいたけれど、それもずっと昔の話。
ここにあるのは、涙が涸れた後の冷めたムクロだけ。
そんなさびしいがいこつさんのあてのない彷徨に、
作者はこの上なく温かく寄り添ってくれます。
いつもどおりの五味太郎の絵のはずなのに、
がいこつさんの目を通して見る町の賑わいは、
まるで離人症のように実在感のない無表情。
でも、そんな浮世の空々しさを、
作者は批判したり厭わしく思ったりしてはいない。
この世にはこんな楽しみもあったっけ、あんな心配もあったっけ。
それら詮無いあれこれを、
ま、それもそうだな、と言ってため息の中にしまっておいてくれる。
気がかりを突き止めて、
冷え冷えした色使いのねぐらにもどったがいこつさん。
もういまさら必要のない詮無い浮世ごとをすませて、
とっても安心した気持ちで寝てしまいます。
小1の娘にはがいこつさんの酸っぱさがピンと来なかったようですが、
これほど温かい懐に憩うことのできる絵本は、
生きる手本として与えておきたいと思います。
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