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というのも、自らの勇み足の数々を「こりゃしまった」と認める殊勝な文章が散見されるのです。仙台空港から羽田行きの飛行機に乗ろうとして、そんな航空便が東北新幹線の開業に伴って15年以上も前に廃止されている事実をようやく知るなどという展開は、アクの強いかつての鷺沢エッセイならば自らの不覚を棚に上げて、航空会社を気の利いた台詞で叱り飛ばす勢いがあったはずです。齢を重ねて鷺沢亭も丸くなったかな?という思いを強くしました。
かといってこのエッセイ集を楽しめなかったということではありません。「執念と用心」をはじめとして「ことば」にまつわる文章の数々はなかなか読ませます。
そして私が最も強く推したいのは「ファースト・ライ」という一編です。高校生の皆さん、このエッセイの味わいどころが分かりますか?鷺沢萠自身が高校生のころには分からなかった、母の「若いのねぇ…」という呟きに込められた深い意味。その意味はこのエッセイの中では仔細には語られません。すべての高校生がその意味を理解できるとは思いませんが、おそらく大学生くらいになれば「分かるなぁ」という人は多いのではないでしょうか。家族ということの意味について書き続けてきた鷺沢萠らしいエッセイです。
最後に印象に残った言葉を以下に引き写します。
「人生いろいろ。人間いろいろ。しかし日々新しい発見と勉強をし、それを死ぬまで続けるのが人生であり人間という生きものなのだ、ということは言えそうである。」(141頁)
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