編集部には、漫画を観る目がないとしか言いようがない。この漫画をここで終わらせるなんてなに考えてるんだ。 帯に「堂々完結!!」とかよく書いたな。明らかに木村先生の望まない形での幕切れとなったことは一目瞭然。 本気で編集部が許せない。 一巻一話から読めば、「からん」がかなり周到に設定を練ってあり、伏線を散りばめてあるのが分かる。 木村先生としても、この作品にはかなり入れ込んでいたものと思う。 それだけに、それら全ての語られるはずだった物語がこのような形で終わりを迎えるのは残念でならない。これからまだまだ、どんどん面白くなっていくことは自明なのに。 京の生い立ち、螢生の思惑、萌はどこまで強くなるのか、雅は柔道部をどう変えていくのか、この先登場するはずだった強敵など、まだまだこの物語に興味は尽きないのに。 木村紺作品ならではの人物造形の深み、人間関係の狭間で葛藤する、息を呑むような逼迫した心理描写、キャラクターが個々に活きているからこそのリアルな緊迫感、それらの緩衝材とも言える軽妙で、吟味された言葉選びによるボケの数々、全ての要素が絶妙に、雅というキャラクターを軸に絡み合い、時折顔を出す伏線が、先の展開へ期待感を煽る。 最高に面白いとしか評しようがない。 この巻に関して言えば、萌の圧倒的力量と現時点でのその限界が表される背後で、不気味ともいえる進化を遂げようとしている京が描かれている。意を決した雅のアドバイスを受けて、京が千成を投げるシーンでは心臓が高鳴った。スポーツ漫画に於ける正しく熱いカタストロフがそこに展開された。 書き下ろしでは、これまで影の薄かった穂積喫に焦点が当てられ、重い話を宇賀神教諭を緩衝材に、最終的には柔道部の絆と結束を高める爽やかな成長物語へと展開させた。 木村紺恐るべし。 返す返すもこれが最終巻となってしまったことが残念でならない。