女子柔道物。あまりと言えばあまりにも大雑把な先輩がもうかなり身長が高かったら「巨娘」な強力さを発揮しつつ、かなりまともな人間が大勢いるお嬢様学校で柔道部に新入生が入る第一巻。
「神戸在住」でマンションのガンコ老人がふとかいま見せる優しさや友人とのふとした優しさ、白眉である神戸大震災を描いたエッセイ風漫画の新境地を築いたのにそれを全て叩き壊して蹴飛ばして「巨娘」で新境地を見事に見せた作者が、それらとは全く違う(下手すれば作者名を隠していたらバレないかも)真っ当なスポーツ物を描いた作品。
お嬢様学校に「無限の住人」に出ていてもおかしくない先輩がいて、そこに柔道京都2位の新入生がクラスメートを巻き込む今巻は、経験者同士の乱取り、丁寧に初心者向け受け身、柔道独特の準備運動、と進めておきながらいきなり初心者・経験者・有段者・インターハイ経験者(無限の人)取り混ぜての乱取り開始宣言まで。
…チャンピオン系列で連載していたら、地球の存亡を賭けて試合しそうなテンションのなか、お嬢様学校らしいというかちょっとステロタイプなこともあり、微妙に世渡りに慣れた計算高い対応ありと妙にリアルな学校生活をやはり描き出している。取りあえず、宇宙から電波時計の信号を受信している人はいません。
特に盛り上がりとかチャレンジとかがあるわけではないのに、何度も読み返してしまう魅力はどこから来るのか、読み返しながら考えています。
暇な時に読み始めると何度も読み返してしまう、それが木村紺の最大の持ち味でしょう。それは今作でも同じです。
さあ、暇でもないのに読み返してしまう魔境に旅立ちましょう。