古典落語に材を採った「花見の仇討」「粗忽長屋」
佐々木味津三の[右門捕物帖]の奇抜な発端部分(しかし本家では腰砕けに終わった)だけを借りて独自の合理的な解決を施した「水幽霊」「首つり五人男」
まさにスタイリッシュさが身上だった都筑氏らしい傑作揃い。
中でも本書のハイライトは強烈なホワイダニットの興味で引っ張る「小梅富士」と「人食い屏風」。異常極まりない状況が論理的に解かれる様は華麗としか表現できない快感。
都筑氏らしいこだわりは、会話を江戸言葉で(巻末の著者自身の解説によれば、注釈が必要にならないよう、江戸に出来るだけ近い明治初期の話し言葉を使ったらしい)地の文を現代語で平明に描く点や、当時の風俗の徹底した時代考証にも表れている。
第一集に続いて迷わず買いの素晴らしい復刊。まったく本書のコストパフォーマンスは驚くほど安い。