元教師の未亡人フィリス・ニューサムが活躍するお料理名人の事件簿シリーズ待望の第2弾です。前作「桃のデザートには隠し味」に登場したフィリスの下宿屋で暮らす友人の元教師達は本書でも健在です。フィリスの料理のライバル、キャロリンは前の事件で助けて貰ったせいでしょうか、今回は意地の悪さも少し控え目です。離婚歴4回のイヴは今でも懲りずに男性に甘えて、嫉妬深くフィリスの周囲を嗅ぎ回ります。そして唯一の男性で元バスケ部コーチのサムはフィリスにとって何時でも困った時に信頼出来て頼りになる存在です。
今回はキャロリンの友人マリーから小学校の秋祭りを手伝ってくれといわれて料理好きの血が騒ぎ、またもやケーキのオークションとヘルシー・スナック・コンテストのアイディアを思いつきます。そこで出会ったPTO(保護者教師機関)の会長シャノンは役員の奥さん達に遠慮なく威張り散らす傲慢な人物でした。やがて秋祭り当日、突然の女性の悲鳴に続いてシャノンの刺殺死体が発見されて、素人探偵フィリスはまたもや事件に巻き込まれてしまいます。
犯人逮捕を焦る田舎の保安官と善良な副保安官の息子マイクのプロ二人を出し抜き、今回もフィリスは鋭い勘で犯人のうっかりミスを見つけて逮捕に導きます。悪人を決して許さないフィリスの正義感と粘り強さは相等の物で、ラスト30頁まで五里霧中だった事件を解決する手腕はお見事の一語に尽きます。フィリスは人としても思いやり深く、無用の不幸を招かぬように賢明に配慮する愛すべき人柄です。気になるサムとの今後ですが、お互い若くはありませんから情熱的な愛でなく穏やかな愛を育むのが相応しいでしょう。派手さはありませんが確かな人情味が感じられるシリーズの行方を今後も見守って行きたいと思います。