例えば床が油にまみれた町工場に営業に行ったときに、ハンカチを敷いてその上にかばんを置いたら、
「自分のかばんを汚したくないのか」と不愉快に思う経営者がいるでしょう。やるべきではありません。
もちろん著者もそんな場面ではハンカチを敷かないでしょう。
著者は大手外資系企業の営業で、名刺にはいくつかの勲章がついているはず。
だから逆に紺スーツ、白シャツ、黒革ベルト時計が逆に安心感を生むでしょう。
逆にローカルな中小企業の営業であれば平凡すぎる格好はかえって不安で、もっと「仕事ができる」服装で自己主張してもいいのかもしれません。
つまり、本書の技術をただコピーしても売れるようにはなりません。
「伝説の営業マンの本」は無数にあって、どれもそうなのですが、ルールはあくまで「ある条件のもとで成功するルールだ」という認識が読者に必要です。
商品、顧客、自分の性格や特性、それに応じて営業のあり方も変わるし、逆に言えばトップ営業という人々は、商品、顧客、自分の特徴をピッタリ対応させられる人です。
著者の扱う生命保険は顧客が中身を精査して購入することが難しい商品です。
いくつか比較することはできますが、最終的に「担当者への信頼」で選ばれることの多い商品でしょう。だからこそ本書のルールが功を奏するのです。
逆に、ベンツがほしい富裕層に、軽自動車の営業マンがいくらハンカチを敷いてかばんを置こうが、ゴルフ接待で終始ピンを拾おうが、軽自動車は売れません。
ルールはあくまで特定の環境下でのルールです。相手や商品が変われば、著者も別のルールを開発するはずです。
業種が変わってもトップ営業マンになれた著者の根底にある、お客様のニーズを何より大切に思う気持ち、
そしてお客様のニーズをくみ取りそれを表現する力、行動力、そういった著者の「ルールが生まれる原泉」にこそ、読者は目を向けるべきでしょう。