アカトラの猫、マドレーヌ夫人は外国語が喋れる猫だ。
猫にとっての外国語。それは、犬と言葉が通じるということだ。
マドレーヌ夫人は夫とは会話ができる。
マドレーヌ夫人の夫とは、かのこちゃんの家の飼い犬である玄三郎だ。
かのこちゃんは小学一年生の女の子。その父親は鹿と喋ったことがあるんだって。
かのこちゃんの素敵な家族の姿も微笑ましく、地に足が着いている感じがして快い。
猫も、犬も、人も、活き活きと描写されており、まるで目に見えるようだ。
確かな表現に支えられて、マドレーヌ夫人のちょっと不思議な物語に、すんなりと読者は引き込まれてしまうのだ。
出会いがあれば別れがあり、日々の出会いと別れほど、ひとにとって大きな事件はない。
一番悲しい場面は、いっそ美しくすらあり、泣けて泣けてたまらなかった。
不思議だけど、不思議さを忘れた。それが猫であれ、犬であれ、人であれ、描かれている愛情がとても美しいから、ファンタジーと気負わずに読んでもらいたい気がした。