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書店で売られている敬語関連書の多くが、英語のイディオムを掲載した参考書のように「誤った使い方→正しい使い方」に重点を置き、なぜ間違っているのかには言及していない本が多いのですが、本書では著者が日常的に気になる日本語の使い方を具体的に紹介した上で、それがなぜ間違っているのかを詳細に分析しているので、信憑性が高く納得のいくものになっていました。
特に留学生に教える日本語と日本人の若者が使う表現の違いの解説は興味深かったです。
また、敬語の使い方のみならず、言葉遣いによってコミュニケーションが心のこもらない空虚なものになってしまうという部分では、「なるほど」と感心する部分が多かったです。
「言葉の退化」ということについて考えさせられました。1億以上の人間が母語として使ってたら退化なんてありえないと思っていたけど、そうじゃないようです。何もかも「ただの変化だよ」とタカをくくってのんびりしてたら、日本語は、というより日本人は、とんでもないことになっちゃう気がした一冊でした。ああ怖かった。
筆者は「日本語教育概論」を大学で教えている教師らしく、文法の知識も交えて、多数の例を提示しながら日本語の乱れを指摘しています。そして、ここで指摘されていることは単に「言葉」の問題のみではなく、それと表裏一体であるコミュニケーションのあり方の貧困化です。彼女がユーモラスかつ辛辣に提示する大学生の現状には確かに日本国の今後が心配になるものがあります。
これは、筆者の初めての本だそうですが、すごく「読ませる」本です。文章が理知的でありながら、ウィットに富んでいて、読書の快感を味わえます。翻訳者の岸本佐知子氏の文章にも私は同じ感覚を感じるのですが、外国語を操ることを生業とする方々は日本語の文章力も発達するようですね。(筆者も終盤の「豊かな日本語力をつけるためのセルフトレーニング」の中の訓練方法の一つに「外国語を学ぶ」としておられるし)。
この本を読むと、「これから精進して、美しい日本語を操る人を目指そう」という気になります。
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