最近の流行りもののようにレズビアンのカップル(ゆうきとゆめ)がいたり。それもカムフラージュなのだと思いますが、それがなければ万人向けの癒し系アニメに見えるのでしょう。はるかの少女愛は作品バランスを危うくするものではなく心地よいお約束で本作がかぶる仮面。堀江由衣のハジけた演技は白眉と言えるほど。温もりのある作品で私にはこれと言って批判すべきは見当たりません。独自性はある作品だと思います。様々な世代の他人が同居し新聞配達業を営む。主人公中町かなを始め個々人の背景は曖昧にぼかされている。この作品が長閑なのは規則から解かれているからでしょうか。新聞配達は規則的なお仕事かと思いますが、本作では業務に奔走する日常は描かず、学校という学生には比較的規則を伴う時間の描写も少ない。むしろ祖母を亡くし天涯孤独になった直後のかなの目線で見た日常は毎日が初めてで新鮮な驚きに満ちている。見た目は小学生にしか見えないかなは中学一年生です。住み込みで働きながら学校にも通うかなの心に刻まれていくのは、友達の美華ちゃんやふうしん新聞の仲間たちと過ごす何気ない時間。思い切りふざけたり、家族同様の思いやりを知る彼女たちも、互いに踏み込んではいけない部分を自覚しているように見えます。裏を返せばやっぱり他人であり触れられない世界を感じてもいるのでしょう。でもそういう感覚を言葉とかにするわけじゃない。どうしたって必要なほんの少しの他人行儀は孤独の在処を疼かせます。だから余計に相手を思い本当の家族にどうしたらなれるかと考えるものかもしれない。というようなことを想像させる距離感が彼女たちの関係なのではないかと。
ドタバタ面白可笑しい日常の背景に一所懸命な愛しさが脈づく。そう公言するのを躊躇うようなシャイな美学が百合や少女愛という不釣り合いに見える設定を稼働させているようにも見えたり、見えなかったり。