丼物の王様のかつどんがテーマの短篇、「かつどん協議会」を含む三遍の短編集。
原宏一は「床下仙人」で面白く笑わせていただいただけに、次の文庫作品を待っていたところ「こたつ」と「かつどん協議会」の二冊が出ていたのでこちらを先に読みました。まぁ、どちらもタイトルからするに、脱力するような内容が予測されるわけで、、それはそのまま当たりです。少なくともこちらの「かつどん協議会」については、カツ丼を全国の食堂連合の生き残りをかけたキャンペーン目玉商品として展開するにあたり、養豚業界、鶏卵業会、農協、タマネギ農家たち、キッコーマンがモデルっぽい醤油会社などが主導権争いをかけて戦うという馬鹿話。
でも、カツ丼(かつどんよりはこちらの表記のほうが個人的にはしっくりくる)は、カレーライスと並んでこうした馬鹿話のメインをはれる食材なのは間違いありません。カツ丼ときくと、何故か心が躍ってしまう心理は男性諸氏なら思わず頷いてくれるはずです。女性の家に遊びにいったときに、或いは女性が家に遊びにきてくれた時に、カツ丼を作ってくれると「お」と思う男性は圧倒的に多いです。
でも、それだけ人気メニューだけに、こだわりが人それぞれにあるもの。この作品の中ではまず大きくわけて「ソースカツ丼」「味噌カツ丼」などの卵とじをしないものは邪道としてよけて、カツを揚げたものを卵でとじた物を中心に話が進む訳ですが、その中でも肉は上質なものであるべきか、それとも逆に肉は美味しい上等肉ではダメなのか、卵は半熟にすべきか生に近いべきか等等こだわりの話が出てきてそのあたりが本筋ではないんだけれどもなんとも楽しかったです。