ヴェンダースの映画を好きな人は、彼の視点に魅了されるに違いない。対象を見つめる彼の視点、彼の目に捉えられる風景は一つ一つが物語りを持っていることを、この本を読む/眺めることによって思い知らされる。写真集という体裁をとるこの本だが、彼の言葉と共に、あらゆる写真が切り取られた時間の一部であることを、未来と同時に過去を、対象と同時に自分を写すものであることを教えてくれる詩集でもある。
彼の、目に映るもの全ては、彼の映画を構成する全てであるということを知る。「かつて」、と彼は言う。その「かつて」が彼の現在全てにつながるものであることは、この本を読んだ今、改めて言い直す必要もないかもしれない。