文庫が上梓されれば、躊躇せず、無条件に購入する作家が今は5~6人いる。重松清はそのうちの一人である。何故か。『ナイフ』『定年ゴジラ』『エイジ』があまりにも素晴らしかったからである。よってこの本に何が書かれてあるのかはぜんぜん知らずに購入。開いてみるとびっくり、重松清とはここまでエンターテイメントの作家だったのかと発見。地方少年の『性長』物語と、重松版『世にも不思議な物語』。それをレコードのA面B面で編集し、あとがきはA面の最後、つまり本の中ごろに配し、付録としてロングインタビューを2本いれるという徹底サービスぶり。重松の編集者魂を見た思いがした。『何もなかった世代』が今は人気作家の中枢をなしている現代で、何を書いていくのか、ぜひ見守って行きたい。作品の内容?『楽しめる』の一言。