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9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
どんなに熟読しても副作用は無さそう。,
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レビュー対象商品: かぜの科学―もっとも身近な病の生態 (単行本)
おもしろい。邦題が何やら三流出版社の新書本みたいだし、装幀もやや遊び過ぎているので、 食指が動かない人もいるでしょうが、間違いなく好著。 原題は、“Ah-Choo!? ―The Uncommon Life of Your Common Cold ”。 この気が利いたネーミングどおりの内容。 本書はまず前半で、「風邪(普通感冒)」の治療と研究の現状について、丁寧に語る。 ウイルスと細菌の違い(風邪はウイルスによる病気)のような基礎知識をはじめ、 アメリカの医療行政と売薬事情、そして米国民の疾病観まで手際よく理解できる。 著者自身、他の被験者(効率のいいアルバイトになるらしい)と一緒に、 臨床試験に加わって“風邪にかかる”実験台となる逸話も最高。 こうした最新の「実例」によって、個別の症状の意味も、インフルエンザとの 違いも、まことに分かりやすく説明されている。 だが、そうした著者の文字通り“涙ぐましい”突撃精神をもってしても、 風邪の特効薬についての報告は、なされない。理由は、あまりにも「風邪」の 原因となるウイルスが多く、その組み合わせが一定でなく、研究が進まないから、 らしい。しかも風邪は、ひどくならない限り、数日で軽快する。 ある研究者のことば。 「何をしようがすまいが風邪はいずれ治癒するものです。それでも、 あなたが薬の効果を信じたことで快復が早まった可能性は捨てきれません」。 かくして、古来さまざまな民間療法が推奨され、今日に至るまで、 科学的非科学的にかかわらず、多くの予防法、治療法が生まれた。 本書の後半では、そうしたさまざまな療法が、充実した取材と、 読みやすい筆致で(かつ諧謔味も豊かに)紹介されている。 そして本書の最大の魅力は、「風邪」という、切実ではあるが、 過度には深刻でない疾病と人間との長い格闘の報告を通して、人間社会の 様々な局面におけるリテラシーに思いを至らせてくれるということかもしれない。
8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
弱さの強み,
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レビュー対象商品: かぜの科学―もっとも身近な病の生態 (単行本)
霊長類との付き合いは数百万年にも及ぶ最も身近な病気、それが風邪。生涯でおよそ200回ほど起きるこの病気は、その身近さゆえに誤解も多い。また風邪ウィルス自体200種以上に及ぶため、その全容はほとんど解明されていないと言う。本書は、そんな風邪をテーマに徹底的に真相に迫った一冊である。◆本書の目次 序章 :風邪の赤裸々な真実 第1章:風邪を求めて 第2章:風邪はとれほどうつりやすいか 第3章:黴菌 第4章:大荒れ 第5章:土壌 第6章:殺人風邪 第7章:風邪を殺すには 第8章:ひかぬが勝ち 第9章:風邪を擁護する 付録 :風邪の慰みに 冒頭、著者自身による風邪の人体実験の描写から始まる。通常は不意を打たれたように疾患する風邪に、こちらから意図的に罹りにいくのである。風邪ウィルスが身体を冒して行く模様を実況中継さながらにリポートしながら、いつのまにか風邪の世界へと引き込んでいく。また、イギリスで抜群の知名度を誇るCCUという組織の話も興味深い。風邪の人体実験に応募した被験者達は、二人ごとに一室あてがわれるのだが、そこでの経験を楽しみ、そこで生涯の伴侶を得たものも多いという。見知らぬ二人が風邪の冒険を共にするという特異性が、絆を深めたのだろうか。 諸説あるようだが、風邪の原因は鼻にあるというのが最有力だ。そして鼻が風邪をうつす主犯格なら、共犯者は手である。驚くべきことに人は1時間に平均5回程度、鼻をほじっているそうだ。「どうも風邪をひいたようだ。」などと周囲でぼやく輩は、自分が鼻をほじっていると白状しているに等しいということになる。ちなみに、この理論を適用すると、私もこの行に到達するまでに、既に2.5回鼻をほじったことになる。しかし、私は今風邪をひいていないから、本レビューを通して風邪がうつることはない。その点は安心してほしい。 一般的に、風邪の苦しみとは、病原体が産生する毒性によって引き起こされると考えられがちだ。しかしその実体は、ウィルスが撃退あるいは破壊される炎症プロセスによって引き起こされるということが分かっている。風邪の症状はウィルスの破壊的影響ではなく、侵入者に対する身体反応として、私たち自身が作りだしているのである。 風邪ウィルスの最大の特徴は、そのインテリジェンスにある。風邪ウィルスは毒性と伝播力を天秤にかける進化上の取引を行っているのだ。毒性が強すぎて宿主を機能不全にしてしまうと、自分自身の宿がなくなり伝播して子孫を残すことができなくなってしまう。そのことをウィルス自身が良く理解し、適度な苦痛を与えるに留めているのだ。弱さこそが、最大の強みというわけである。 ある新たな研究によると、誠意ある医者に、共感を寄せてもらいながら診察を受けた患者は羅患期間が短縮するということが分かったそうだ。それでなくても、風邪をひいてしまったがゆえに、優しく看病してもらい、ちょっと良い思いをしたなどという経験を持つ人も多いのではないだろうか。風邪に罹った弱さを武器にする。人類もまた、ウィルスから学んだことなのだろうか。
6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
常識を覆された風邪予防策,
By なおき (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: かぜの科学―もっとも身近な病の生態 (単行本)
読書を終えてまず思い知ったのは、我々は風邪についてほとんど何も知らないどころか、誤った解釈さえしてしまっていることだった。タイトルにあるとおり、本書は風邪を科学的に解説し、風邪に対する理解を啓発するために書かれているわけだが、実はそれ以上の重大なテーマを投げかけていた。それはヒトを含めた高等生物の誕生の秘密である。我々は、いろんな策を講じて、風邪にかからぬよう予防策を取っている。ところがその中には、正しいものと誤っているものがあった。 * 正しい予防策:睡眠をよくとること、控えめな飲酒、禁煙、手を洗うこと * 誤った予防策:暖をとること、免疫力を高めること、サプリメントやビタミンCの摂取 * 知られていない予防策:社会的ネットワーク(多様な人との接触) なんと、暖をとっても、免疫力を高めても、ビタミンCを多めにとっても効かないとは、びっくりである。なぜ、我々が常識的に信じていた予防策が無効なのだろうか? それは、我々が、ウイルスというものに対しあらぬ誤解をしているからである。本書を読んで私はその答えを知ってしまったわけだが、ここでブログ読者が答えを知ってしまうと本書を読む楽しみが減ってしまうので、答えを書くことは控えたい。 −−閑話休題−− さて、冒頭に述べた「ヒトを含めた高等生物の誕生の秘密」。ヒトの身体には、大腸菌やらなんとか菌やら、何兆個もの微生物が棲んでいる。我々は、自分の身体は自分のモノと認識しているが、その認識は間違っていたかもしれない。 "ヒトは独立した一個の生き物というよりは、その大半が無害である微生物が何兆個も集まった一つの生態系のようなものである。" なるほど、我々は微生物たちの生態系だったのか。しかし、これらの微生物は、いつから我々の身体に宿しているのだろうか?これらの微生物は、高等生物が誕生する以前から地球上に存在していた。人類に進化するはるか以前から、ウイルスは体内に棲んでいた。ここ十数年の科学の進展により、我々のDNAは急速に解明されてきた。そして、我々のDNAの多くがウイルス感染によって得られてきたことも判明してきた。 "かつてウイルスはどれも単なる遺伝的寄生体であり、病気を運んでくる微小な構造体であると考えられた。しかし現在では、ウィルスは私たち人間をはじめとする生命の誕生にきわめて創造的な役割を果たしてきたというのである。(中略) 私たちのDNAの多くはウイルス感染によって得られたものだ。" 我々の身体は、風邪ウイルスの体内侵入に対し、くしゃみや咳といった身体反応によってウイルスを身体の外に追い出そうとする。しかし、既に体内に棲んでいる細菌たちと同じように、長い人類の進化の過程で風邪ウイルスもいづれ体内に取り込まれ、共存する時代が来るのかもしれない。本書を通じて、風邪を正しく理解するのみならず、人類進化の神秘の過程に迫ることができた。
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