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4 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
日本の文明のはじまり,
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レビュー対象商品: かぐや姫と王権神話 ~『竹取物語』・天皇・火山神話 (歴史新書y) (新書)
キリスト教国では聖書の記述は新訳であれ旧約であれ、文明のバックボーンである。日本は独特の文明を有するとされているがその起源はなにか、多くの論者は古事記や日本書紀の記述を重視する。ただ、どうしても神話や伝説の世界はそれを編纂した者のの立場や主張に左右される。その編纂を命じた者に不利なことは書けないのだ。 しかしここにもう一つの考え方を提示したのが本書の特色である。かぐや姫は妻問いの物語だが、その経緯は時代の権門の本質を反映しその矛盾をあらわにする奇怪なものである。たしかに貴公子達の滑稽な姿は物語の幅を広げ、現代に通じる人間味を感じさせる。しかしなぜ、かぐや姫の作者はそのような描写をしたのか。 シンデレラストーリーなら王子様に見出されたシンデレラは素直に求婚に応じめでたしめでたしなのに、なぜかぐや姫は月に帰らなければならないのか。 アマテラスはタカムスビから神の最高位を引き継いだが、これはアマテラスの後裔たる天皇家が日本の主となることと直結している。つまり9世紀という日本が中華文明から独り立ちして独自の文明を構築する過程が物語の背景にある。 …ということが書かれているのだが、なんともわかりにくい構成になってしまっている。多分、終章を最初に読んで第3章、第4章、と進み、第1章、第2章、第5章と読んだほうが分かりやすい。 ただ、そのうちこの本は古典になるかもしれない。
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5つ星のうち 4.0
月と火山の女神が文明化と神道により駆逐される過程,
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レビュー対象商品: かぐや姫と王権神話 ~『竹取物語』・天皇・火山神話 (歴史新書y) (新書)
遺跡保存運動や史料編纂でも活躍している1948年生まれの平安鎌倉時代史研究者が2010年に刊行した本。9世紀末に成立した日本最古の物語『竹取物語』は、『万葉集』、『風土記』、『古事記』の記述や中国の神仙思想を原型として作成された、夜を舞台とした光る竹の精の降臨物語である。著者は関連資料の突き合わせと地名・氏族名・人名の比定から、物語の舞台を忌部=齋部氏の本拠地である大和国広瀬・龍田神社付近とした上で、広瀬大社祭神や五節舞をめぐる伝承、かぐという語幹、当時の火山噴火の頻発から、かぐや姫を月と火山の女神と見なす。その上で、物語上の求婚者が天武時代の皇族(藤原不比等も含む)・貴族であることに著者は注目し、天武夫妻の治世から仁明期までの中国の神仙思想の流行とその後の衰退という史実、律令国家の整備(文明化)の中で、天武夫妻が始祖神話を火山神高御産日中心から日神天照大神中心に切り替え、結果的に忌部氏に対する中臣氏の優越を決定的にしたという史実、仏教の影響下に清浄観念を発達させた神道が道鏡事件以後女性司祭を排除しながら体系化されていった史実に注意を促す。その後求婚難題譚における見事な人物のイキホヒの書き分けにふれた後、月の天人の非人間的な清浄さによる穢れた地上世界の全否定、かぐや姫の残した不死の薬が富士山頂で焼却されたという結末から、著者は仁明以降の神仙思想の後退、神道の自立に伴い後退した月と火山の神の信仰の残存、血穢の強調による女性の地位の低下を読み取った上で、こうした神道の対象化が今後の日本にとってもつ意味の重要性を説く。史料的制約ゆえ古代史は連想に頼らざるを得ない面が多いが、多様な知識を駆使して竹取物語を逐語的に解釈しながら、これだけ大胆な仮説を言える著者の熟練には私は脱帽する。巻末に年表と原文翻刻付き。
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