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講談社ノンフィクション賞受賞作『小蓮(シャオリェン)の恋人』には、二つの国の狭間にいる中国残留孤児たちが描かれていた。「言葉は誰かをやっつけるものじゃない。言葉は武器ではなくて、言葉は文化で教養です」という小蓮の直感に、胸がふるえた。
本書は昨年、44才で亡くなった井田真木子の、絶筆となったシリーズをまとめたものだ。
古今東西のノンフィクション作品を取り上げ、作品論、作家論を展開する予定だった。本人による企画書では、9本!!上げられているが、「トルーマン・カポーティとランディ・シルツ」「『さもなくば喪服を』と『きけわだつみのこえ』」「カール・バーンスタイン&ボブ・ウッドワード『大統領の陰謀』」の3本が書かれるにとどまった。
企画書の中で特に興味深いのは、作家を取り上げるにあたって、「その作家が自分の内面にかかえた謎について、あるいはテーマの謎について、いつまでも“尊敬”のようなものを持ち続けていることは必須条件です」とあること。
私が井田真木子の書く本に惹(ひ)かれた理由も、それだった。作家が作家にならざるを得なかった体験と心のありかたを“謎”とよぶのではないだろうか。『ルポ十四歳 消える少女たち』で、彼女が8才で性的被害を受け、15才から約10年間、衝動的飲酒を止め!!られなかったことを知った。
謎に対する尊敬とは、事実を知っても、謎が解けてわかることなどはない、という謹厳な態度をいうのだろう。
タイトルの通り、井田真木子のバンドの音が鳴りやまないことを、一愛読者として強く願う。
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