by 小宮山隆央
伊藤桂一さんの文体は簡潔で、そこはかとない悲しみや親しみや尊厳、哀しさを感じる美しい日本語で書かれています。
「不遇--というのは、ひとつのだいじな資産のようだ」
ここから考えると、「かかる軍人ありき」とは本来の日本人として必要な資質を現して記しているように思います。
またここに生きた方々は、「空疎な作り物ではない時代の潮流に生きています」だから真摯な人生を過しているように思えてなりません。
伊藤さんの言っています。
『戦場小説というのは、死生の間のできごとが材料になっているので、他のいかなるジャンルの作品も及ばないほど、内容はきびしくドラマチックである。
しかも戦争------というものについて、深刻に考えさせられる意味をも持っている。
戦場小説は、その性質上、戦中時代、ことに戦場生活の体験者に愛読熟読されるが、他世代の人たちも、戦場小説のもつ劇的な意味を理解すると、離れがたい牽引力を、その作品に覚えるようである。
内容が劇的であり、しかも空疎な作り物ではないのだから、当然、説得力もある』
駐日ドイツ大使館の外交官エルヴィン・ヴィッケルトさんの著書にあります。
「人間とそれを動かす様々な情熱、理性的、あるいは偏った狂信的な思想、強迫観念、偏見、そして歴史とそれを動かす必然性、不条理な偶然や様々な潮流、それらの無限なからみあい」
こんな考え方を子供のときから学んでいたら、謙譲の精神も育まれる日本人となるのではないでょうか・・・
小宮山隆央