読み物としては楽しめるが底は浅い。厳しいことを言えば週刊誌ネタに多少肉付した程度の内容である。
事件関係者に取材はしているが、被害者的な人物ばかりである。加害者的な人物には殆ど取材がなされていない。片手落ちだと思う。もっとも取材を拒否されたのかもしれないが、そういったケースの場合、著者は作品でその旨を記しているので取材を試みていないのだろう。
著者は専門家でもコレクターでもない。そして、美術関係者でもないようだがそれは理由にならない。徹底した取材と検証を行えば専門家でなくとも深みのある作品は書けるはずである。本書の中で最も迫力があったのが、福富太郎などのコレクターの証言であったのが、著者の力量不足を表している。
例えばこの作品が1000円程度であれば特に文句はないが、この値段なので読んで損をした気分になった。