日本では、大きな成果を上げたり、卓越した実力を発揮することで積極的に認められるよりも、義理を果たしたり、周りとの調和を保つことで消極的に認められる場合が多い。著者は前者を「表の承認」、後者を「裏の承認」と呼ぶ。裏の承認を重視する風土は画一性と調和を重んじる農業社会や少品種大量生産の工業化社会には適していたが、個性や創造性が求められる情報化社会では障害になる。
閉鎖的で流動性に乏しい日本社会では、名誉や尊敬が全人格的な序列につながり、誰かがそれを手にすると誰かが失う「ゼロサム」の関係になりがちだった。「表の承認」の文化を広げるには、名誉や尊敬を全人格的評価から切り離し、多様な基準で認める「名誉の分かち合い」が必要だという。様々な企業の取り組みを紹介しながら、隠れた「承認欲求」を引き出し、インセンティブとする手法を解説する。
(日経ビジネス 2007/03/19 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
人間はお金で動くという「経済人」を前提にした成果主義は、7割近くの社
員に不満や不安を与え、見直しや撤回を余儀なくされました。 お金そのものよ
り、承認や名誉、あるいはプライドやメンツによって動機づけられる人間を
著者は「承認人」と呼んでいます。
会社や役所、学校の中、地域社会、それに学界や政界などで人々の態度や
行動を観察していると、多くの人は「経済人」よりも「承認人」に近いことがわ
かります。 経済的な豊かさを増した現在はとくにその傾向が顕著です。
そこで最近は、社員や子供を積極的に「褒めよう」「認めよう」という考え方
が世間に広がってきました。 ところがなぜか、日本人は「認められたい」「偉
くなりたい」という気持ちを正直に表しません。 実際に集団の中で褒められた
り認められたりすると周囲からたたかれたり、仲間はずれにされたりすることも
あり、褒められた本人も迷惑そうにします。
なぜ日本人は承認欲求を表に出せないのでしょうか?
能力のある人や成果を
あげた人を賞賛することができないのでしょうか?
それは、日本の組織・社会
の構造と深く関わっています。 したがって、このような風土の中で認めたり褒
めたり、また褒められたり認められたりするには工夫が必要になってきます。
「出る杭」を打ち、「奥ゆかしさ」を美徳とする日本的風土の背後に隠れた承
認欲求をあぶり出し、動機づけるための方法をたくさんの事例やエピソードを用
いながら説明しています。
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