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73 人中、59人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0
粗い政策提案、認識の誤りが数箇所ある。,
By 少子化問題に直面しようとしない日本 (さすらいの旅人) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: お金の流れが変わった! (PHP新書) (新書)
著者がなぜ都知事選で大敗したのかがよく分かる著書である。参考になる箇所は多々あるものの、細部の詰めが甘い部分が散見されるのは残念である。勿論、参考になる点は多い。「若年層から集めて高齢層にばらまく日本の年金制度は破綻確実」は完璧に正しい。世界から投資を呼び込むことが今の日本に必要であるというのも正しい。資産課税が必要との指摘も的確だ。しかし最も重要な「そのために具体的に何をすべきか」が粗雑である。著者にその領域を求めるべきではないのかもしれない。 以下、明白な認識の誤りを指摘しておきたい。 ○フラットタックス型の減税は今の日本に効かない。90年代の所得減税の後の成長率を見れば明白。 (増えたのは家計金融資産だけ、という最悪の愚策だった) ○レーガン政権初期の減税政策は、財政悪化をもたらして路線修正を強いられた失敗例である。 ○著者はフラットに重い所得税を課し、税収を成長分野に移転する北欧の成長政策を理解していない。 ○外資優遇、対内投資優遇は経済成長に対し持続性を与えない。アイルランドの成長率を見れば明らかだ。 (投資を集め続けて成長を持続させ、しかもバブルにしないことが難しいのだ) ○原子力発電は風力発電よりも遥かに経済波及効果が劣る「劣等生」である。 ○原子力発電には「電力消費ピークに対応できない」という致命的な弱点がある。 (この点、太陽電池の方が遥かに効率的である) 著者は原発を持つ自治体がホルマリンのように補助金漬けになっている現状を全く知らないようだ。私の知人である地元地方議員の子弟ははっきり「この町はもう終わりだ」と語っている。これまで湯水のように予算を投入して成果ゼロの核燃料サイクルに期待するに至っては、呆れる他ない。 「神の火」を侮る愚かな人間が増え、世界中で原発建設ラッシュの昨今、あと十年以内にスリーマイル級の事故が起きて世界に衝撃を与えるのは間違いない。
66 人中、53人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
世界を動かすお金の動きがわかる良書,
By
レビュー対象商品: お金の流れが変わった! (PHP新書) (新書)
本書は、世界を漂流して大きな流れを作るお金(ホームレス・マネー)について書かれた書籍である。大前氏がVoice誌に連載していた記事を元にしているらしいが、連載記事をつなぎあわせた印象はなく、書き下ろしのように感じるくらいだ。ホームレス・マネーとは、世界各地で生じた余剰資金の集まりのことを指す。著者によれば、このホームレス・マネーは現在4000兆円あるとされる。これらは常に優良な投資先を求めて動き、少しでもより有利な投資先が見つかればここぞとばかりに集まる特徴を持つ。ホームレス・マネーが新興国に流れ込むと、その国の成長を一気に促す。だが、成長に陰りが見えれば資金は一気に引き上げてしまうし、だからといって浮き足立てば一気にバブルを生じさせてしまうという悩ましい問題も生じる。一方、先進国では従来のマクロ経済学的手法が通用しない新たな状況が生じる。どれだけ政府が市場に資金を供給しても、それらは市場に吸収されず、結局はホームレス・マネーを増やし、ますます成長率の高い地域にお金が流れこむ。これにより、国際政治の舞台でも各国の力関係が代わり、従来の米国一極から多極化へと様相を変えていく。このお金の流れを理解することで、現在世界でおきている様々な経済事象も理解することができる。新書一冊で日々起こるニュースに込められた意味を知ることができるという点で、良書と呼ぶべきだろう。 また、著者は最終章でホームレス・マネーを日本がどのように利用すべきかも示している。一言でまとめれば、時価総額を活かしてM&Aを行う企業のように、国家が市場に納得されるきちんとした成長戦略を描いてそれらを実行するということになるが、ホームレス・マネーの存在を知らない人からすれば、まさに「目からウロコ」の話ばかりだろう。同時に、日本にも(政治がきちんと機能し、国民が現状をちゃんと認識出来れば)まだ大きな可能性を秘めているということがよくわかる、希望の道を示してくれる本でもある。
88 人中、70人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
思考の流れが変わった!,
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レビュー対象商品: お金の流れが変わった! (PHP新書) (新書)
まず、本書はPHP新書が得意としている雑誌の過去記事をまとめたもので、常時大前さんの記事を追いかけている人は気をつけてください。それゆえに、2010年度の大前さんの経済に対しての考え方を一挙読みできるとてもおいしい新書でもあります。最近の大前さんが行った印象深い経済予測が2つあります。 1)ドバイショック ドバイショック発生直後、世界の有識者は揃って、ドバイのこれまでの浪費を非難しドバイ経済凋落まで予測する。 一方、大前さんは実際にドバイを訪れ、「ドバイは大丈夫」と言い切り、「それよりも怖いのは、今後、欧州各国は大丈夫か?米国は大丈夫か?と来て最後に日本は大丈夫か?と連想ゲームが起きることだ」と指摘(その当時の記事の一部が本書にあります)。その後、世界の有識者は、ギリシャ危機が起こってからようやく、この連想ゲームに気が付きPIGSなどの造語を生み出す程度。 2)米国失業率 リーマンショック発生直後、世界の有識者は揃って、米国の失業率は高くて6%程度と予測。一方、大前さんは米国失業率は10%を超えると断言していた。その後、世界の有識者は米国の失業率が8%を超えた辺りで、自分たちの予測の誤りを棚に上げて10%もありえると専門家面し続ける有様。 大前さんがこのような世界の有識者が不可能な予測ができるのは、従来の常識に囚われず、自分で考え方の流れを変えて来ているからだということが本書から解りました。したがって、本書のような本からは安直な答えを求めるのではなく、考え方を学ぼうとする皆さんにのみ購入をお勧めします。
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