祐麒主役の第3巻。残念ながら読み返すほどの余韻が
感じられなかった。次回に期待したく星三つ。
前巻から続き何が物足らないかといえば、柏木さんと祐麒の絡み。
このシリーズでは学院の王様として全てを独占する「光の君」が、
しかし胸中では誰にも深淵を許さず、その中で偶然巡り合った
福沢祐麒なる、彼とは完全に真逆の平凡な後輩と、強い絆を
築き上げていく過程の描写ではないだろうか。
確かに小林やアリス、高田ら後年生徒会役員になる親友達との
交流も大切なのだが、どうもリリアンとは違い、花寺には
陰湿な空気がたちこめ過ぎている。
アリスに対しての他生徒のセクハラや、祐麒への野球部員の
自分勝手な逆恨み。
今回も高田が体育部から総スカンを食うくだりなどが、
正直読んでいて不愉快で楽しくない。
祐麒は普通の高校生で、仲間思いの正義漢として描かれ
好感度が高いが、その彼を何故柏木さんが試練にばかり
放り投げるのか。理由をそろそろ明確にするべきでは。
続巻への布石なのかは謎だが、中弛みがいい加減長すぎて、
ただ高慢な先輩に諾々従うように見えてしまう祐麒が可哀相。
「マリア様がみてる」で今野さんが得意としていた爽やかな
読後感を、花寺にもぜひ吹き込んで欲しい。