前半の「ことばと文字と文章と」は、小中学生向けにことばの発生当初からたどった概論を書き直したものです。
日本語がきわめて特殊な言語であることが示されます。
日本語は、音の構造が単純で、音節が111種しかない。
漢字の訓読みは奇想天外なことである。
話しことばには地域による「方言」があるが、「漢文」のように書きことばは同一である。
など目から鱗の指摘がなされます。
次いでことばに関する随筆が収められています。
中でも瀬戸内海地方の風習として、結婚前の女子が、一人または集団で、安全にしかもほぼ無料で旅行できた話には、明るく豊かな気分になりました。
後半は、江戸時代の富永仲基や片山松斎による「狂信」批判から明治以降の「戦争」批判が展開されます。
欧米の植民地支配は「異国」を支配することだったが、
日本の支配は占領地域を「自国」として、日本の一部として支配することであった。
よって、教育も現地の言語を用いずに日本語のみで行われた。
日本人が日本語で日本人を教育するのは当然だ、と。
このことが「侵略」論争がかみ合わない原因であると思われました。
「日本人にする」という根本的誤謬が無視されているからです。