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お父やんとオジさん [単行本]

伊集院 静
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容説明

あなたは、こんな夫に、こんな父親に、会ったことがありますか。

家族を守ることが生きてゆくこと。そこに迷いはなかった!

ボクにはオジさんがいた。久しぶりに帰郷したボクは、かつて父のもとで働いていた権(げん)三(ぞう)から、若き日の父とオジさんの話を初めて聞き衝撃を受けた。

少年はひとりで日本に渡り、働き続け、家族を持った。戦乱、終戦。妻の弟・吾郎は家族と祖国のある半島に帰る。5年後、朝鮮戦争が勃発。吾郎は戦乱に巻き込まれる。過酷な潜伏生活を強いられた弟のために、妻は夫に救済を求める。戦火の中、夫・宗次郎は義弟を助けに戦場に突進する。救いを求める弟。生還を祈る妻と家族。戦火を走る主人公たち。
家族の絆を命がけで守り抜く父の姿を描いた、伊集院文学の原点。
新たな代表作というべき、自伝的長篇小説の決定版。

【伊集院静氏・プロフィール】
1950年山口県生まれ。’81年短編小説「皐月」でデビュー。’91年『乳房』で第12回吉川英治文学新人賞、’92年『受け月』で第107回直木賞、’94年『機関車先生』で第7回柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で第36回吉川英治文学賞をそれぞれ受賞した。主な著書に、『白秋』『アフリカの王(上・下)』『あづま橋』『海峡』『春雷』『岬へ』『美の旅人』『少年譜』『羊の目』『スコアブック』『作家の愛したホテル』『志賀越みち』がある。

内容(「BOOK」データベースより)

「心配するな。何とかしてみよう」母は、泣き崩れて弟の救出を父に懇願する。失敗すれば、その場で捕縛され、射殺されるかもしれない。だが、父は平然と言った。朝鮮戦争のさなかの父と母とオジさんの話を聞いて、ボクは衝撃を受けた。かれらの強靱な精神力と勇気、限界まで頑張った人間の姿に。家族の困難が問われる時代にむけて贈る、著者渾身の力作小説。

登録情報

  • 単行本: 634ページ
  • 出版社: 講談社 (2010/6/8)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 406216244X
  • ISBN-13: 978-4062162449
  • 発売日: 2010/6/8
  • 商品の寸法: 18.4 x 13.4 x 4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By スイート・サイエンス トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
形式:単行本
作者の父親が朝鮮戦争時代に実際に行ったことをベースにした小説だ。在日朝鮮人として日本で結婚した両親の馴れ初めから始まり、第二次大戦終了後、朝鮮半島に渡った義理の両親と弟を救うために、朝鮮戦争の最中の朝鮮半島に単身で乗り込んだ父親の姿が描かれている。

600頁を超える大作であるが実に面白い。著者は幼いころには粗野な父親より韓国の軍人として成功したおじさんを尊敬していたと書いてあるが、何も語らない父親がこのようなことを成し遂げていたと知った時の驚きはいかばかりであったろう。

小説としても面白いが、これが実話に基づいたと知ると、このような義理人情に厚い勇敢な男が実際に存在したことに改めて感銘を受けた。
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11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本|Amazonが確認した購入
 伊集院さんの筆力に感嘆し深い感動を覚える本である。氏のお父さんの話であるとともに筆者自身の生い立ちの記でもある。古来、日本人の文化は大陸、特に朝鮮半島から渡来した人々とともにに伝わってきたものが多く、その歴史は古い。文化という言葉の定義の核心にあるものは人間の精神活動であると理解しているが、伊集院さんの育った家庭には親から子へと伝えられる(学校教育では身につかない)躾が厳然としてあるように感じた。儒教の教えからくる多くのものが家庭の中に息づいている環境が伊集院さんを育てたと思う。
 この本の前半の多くのページは、両親と、その事業に関わる人たちの中で伊集院さんがどのように育っていったかが語られている。その環境は父親を中心とする強い家族愛で結ばれた日々であったが、男の子が必ずといってよいほどに長ずるに従って避け得ない父親との葛藤も描かれているが、家族の絆が壊れることはなく父親が息子をどれほど大切にし愛していたかがよくわかる。伊集院さんの父親に対する尊敬と愛が確固たるものになっていくのであるが、恐らくはその想いが、この本を執筆されているなかで強まっていったものと推察されるのである。
 母の弟が民族のアイデンティティに目覚めて朝鮮に渡り、朝鮮戦争の中に身を投じていく中で戦争の残虐な実態の数々に触れ悩む様が描かれているが、それは母が父に「弟を助けてほしい」と懇願したことによって、父が義弟救出に向かうことにより始まるのであるが、この本の「後半の後半」の大部分が救出の一部始終のドキュメントとして語られている。動乱の中、不屈の意志をもって山野を駆け巡り遂に義弟救出を果たすのである。朝鮮戦争当時、私は20歳であり学生アルバイトを通じて戦争の実態に触れていたので、この本の物語として、伊集院さんの母の義弟救出成功は当時の韓国内の混乱の中においてはまさに奇跡と言えるものと思う。
 伊集院さんのお父さんの家族愛の大きく深いことが伝わってくる。お父さんは「男の中の男」の典型であり、男の本質である「自己犠牲」を、自身が言葉で語ることなく実践で示されたのである。
 伊集院さんは成人の後、この父親の偉大な不屈の精神、深く強い家族愛を、身体が震えるような感動をもって体得し、これをいつの日か必ず書くという思いを永年、心の中に秘めてこられたものと思う。
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13 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
朝鮮戦争のさなか、家族を助けるために日本から
戦場と化した朝鮮半島へと単身乗り込んでゆく男の姿が描かれている。
そのバイタリティ、知恵、状況判断の正しさ、そして予期せぬ出会いなどなど、
よくぞそこまで自分の存在を家族の救出にかけられるものだとただただ感嘆させられる。
どこまでが実話で、どこからがフィクションかなどと野暮な質問は浮かぶまい。

どんな困難に直面したとしても、
「生き続けることでいずれ何がしかの光を見い出すことができるはずだ」
との、筆者の力強いメッセージが伝わってくる。
太平洋戦争後の日本の様子や、朝鮮戦争の動乱が生々しく描かれており、
暗い気持ちにさせられたり、歴史認識の乏しさを知らされることもあるのだが、
多くの読者にとっての読後感は、むしろすがすがしいものであるだろう。
連載時のタイトル「ボクのおじさん」が、単行本化にあたって
「お父(とう)やんとオジさん」に改題されていることも興味深い。
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