特徴的な表紙絵から直ぐに作者が判るものの「普通の着物」に驚きました。
今まで中国や韓国の歴史物、日本では十二単が多かった皇氏がこの時代を描くと、
余りに見慣れない感覚で、しばらく不思議な感覚に囚われたままでした。
しかしやはりというかさすがというか、十分に素晴らしい絵を堪能させていただきました。
しかも今作は日本人らしい体型など故意に泥臭く、庶民的に書かれている気がします。
ただ綺麗なばかりの絵に非ず(p91,174の女性などは表情に浦沢直樹氏的な戯画化も感じます)。
【梅の雨降る】人を呪わば穴二つ…その穴を掘るのは結局自分の「罪悪感」かもしれない。
【時雨鬼】人が鬼になるのか、鬼が人に化けるのか。相手は、そして自分は鬼か人か。
【灰神楽】ある火鉢から立つ灰神楽は、にらめっこをするようにこちらの視線を捕えてしまう。
【女の首】生まれつき声の出ない少年・太郎の周りに現れる、黄色い小人と女の首の怪。
【蜆塚】もしそんなモノと会っても、口外してはならない。言えば…言えないようにされるまで。
いずれも甲乙つけがたい作品ですが、個人的には【梅の雨降る】と【女の首】が好きです。
皇氏の描く子供は、足首や足の甲がぷっくりしていて可愛らしい。特に人物の指が美しく、見惚れてしまいます。