「ワクチンの良さを説明するのは、欠点を指摘するより難しい。」
小児科医が抱える悩みです。
実際に、ワクチン接種に反対する本はマスコミも取り上げるので目立ちますが、接種を勧める本は目立ちません。
さて、この本は「ワクチンを正しく理解し、接種が必要かどうか考えましょう」という内容であり、日本全国の小児科医が発刊を待ち望んだ本です。編集者の「VPD(ワクチンで防げる病気)を知って、子どもを守ろう。」の会 は日本全国の小児科医有志の集まり、監修の薗部 友良 先生(日赤医療センター)はその代表です。
※ 「VPD」で検索するとホームページがヒットしますのでご参照ください。
イラストを交えた内容はとてもわかりやすく、また接種の際の不安・疑問にも丁寧に回答が用意されており、子どもを持つお母さん・お父さんに是非とも読んでいただきたいお勧めの本です。
ワクチンは子どもを傷つけるために造られたものではなく、罹ると重症化する感染症、でも根本的な治療法がない病気に対して、人間の英知を駆使して開発されてきた医薬品です。いわば「善意の塊」。しかし残念ながら医薬品に100%完璧なものはありません。
このことを理解し、自分の子どもの健康を守るためにワクチンが必要なのかどうかを考えていただくきっかけになる本でもあります。
マイナス1点にしたのは、ジフテリアなど小児科医にも縁遠い感染症の説明にもページが割かれていることと、接種の要否を考える際のデータ(対象となる感染症の頻度・重症度とワクチンの副反応の頻度・重症度・・・表にまとめて一目で比較できることが望ましい)が不足していると思われたためです。
この本は予防接種医療の啓蒙書としてスタンダードになっていくと思われます。今後も改訂を繰り返して優れた書籍であり続けることを期待します。