写真の専門的なことは全然わかりませんが、この本の「街」写真は好きです。
見せるための写真というより、自分が楽しいから撮ったというのがよく出てます。
なんのことない坂道や夕暮れ時の河川敷、雨に濡れそぼった舗道。
いかにも下町らしい住宅地や商店、ごちゃごちゃした路地、古ぼけた看板や暖簾など・・
素朴ですが、何かとても不思議に優しく、ほのかに懐かしい気がしてきます。
奇を衒って惹き付ける類いの写真ではありませんが、被写体への筆者独自の視点にハッとさせられます。
それはとても好奇心あふれる無邪気な視点だったり、撮る瞬間の風景の美しさに魅せられた無心の
視点だったり・・・
そういう視点に同化して、自分もその景色の場所に一瞬入ってしまうような、そんな錯覚も覚えます。
気が向かないと出不精な方ですが、自分も散歩がてらにこういう写真を撮ってみたい・・そういう興味が湧いてくる本です。
同じエイ文庫の『下町純情カメラ』(大西みつぐ)も、趣きは似通ってるとはいえ、
若干色合いに違いのある本ですが、オススメです。