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まず、「文化史」と名乗っておきながら、アヌスと臀部を取り巻く文化史的な考察は全体の半分にも満たず、アヌスの機能に関する医学的説明と、肛門科的所見による様々な疾病とその治療法に関する説明に多くのページが割かれているということだ。恐らくほとんどの人がアヌスに焦点を当てた「文化史」的側面に期待してこの書物を手に取るのであろうが、「家庭の医学」的本書のあり方にがっかりする人もいるだろう。
第二に、その「文化史」に関する部分も、その出典をほとんどフランスの文献に負っており、イスラムやアジアの事例にも言及はあるが素人の聞きかじり程度の記述に終始しており、全体として考察が浅い。
第三に、翻訳は改善の余地があるように思える。ただしそれは文体上の問題で、様々な医学用語が的確に訳出されているかどうかについて私自身は判断できる立場にない。
とは言え、臀部とアヌスに焦点を当てた類書は決して多くはなく、その意味で貴重な文献であるとも言える。「家庭の医学」的部分でさえ、読み進めていくうちに、普段はおよそ顧みることもない肛門が果たしている重要な役割に改めて気づかされることになり、この書物の持つ「身体論」的側面がかなり浮き彫りになる。図版が豊富なのもありがたい。 この書物を読みながら昭和天皇が下血を繰り返して死んでいったときのことを思い出してしまった。あの「下血」の社会史的意味は一体なんであったのかと思わぬ方向に思考が跳んでしまった。
でも貴重な図版は秀逸です。
筆者に是非続編をしたためて欲しいと希望しています。
しかしながら、図版が非常に豊富で眺めているだけでも面白かったです。かなりあからさまな描写のものも多く、読者の好奇心をあおります。
「アナル・セックス」の歴史を詳しく語った章もあり「そんなに古くからあったんだ…」とびっくり。この辺りは平易な文章でわりあいと読みやすかったですね。
読んでおくと、話のタネにはなる本だと思いました。
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