「お別れの、そのあとで」。タイトルどおり収録されている短編のほぼすべてが、男女の別れの、そのあとを描いた物語だ。
なかでも、『真夜中のパラシュート』という短編が味わい深い。
帰郷の際、高校生の頃の恋人に出くわしてしまう男。かつての恋人は離婚していて、小さな子供を連れている。ひょんなことから、子どもと一緒に花火をやる約束をしてしまう。季節外れの秋の夜の海辺で、花火に興じる男とかつての恋人と小さな息子。男はなぜだかこの時間を、瞬間をとても心地よく思っている。それはかつての恋でもなく、時間がすぎたあとの懐かしさでもない、恋の残り香のようなもの。
闇夜に打ち上げられたパラシュート花火のように、どこへ着陸するのかもわからない・・・・そんな感情も悪くはないんじゃないだろうか。
味わい深く余韻が残る大人の、そのあとの物語。
ひとはそれぞれに年を重ねていく。そして、別れのそのあとのほうが、人生はずっと長い。