と、それよりもまず、日本ホラー小説大賞の改題には毎回疑問を感じますね。
事前知識が無い状態で「お初の繭」と聞けば、ほとんどの人はどこかで読んだ
ような怪談を思い浮かべてしまうと思う。「お初の繭」なんて、ありきたり過
ぎて興味を半減するような、あまりに凡庸な題名ではないでしょうか。
他にもバイロケーションや化身も改題前の方が興味深かったですね。
「同時両所存在に見るゾンビ的哲学考」なんて「なんじゃそりゃ?」とw
訳の分からなさが妙に興味をくすぐるのに。
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とまあ、題名では一気に古臭くなりましたが、中身自体は時代物や伝統的な怪
談と比べれば読みやすいです。終盤、お初が逃亡して秘密が明らかにされる切
迫したシーンは、ハリウッド映画の約束事のように流行りの構成です。
ま、適度に楽しませる展開かと思います。※ ここからネタばれヒントあり。
ただ、そこに至るまでの道のりが長いです。正直「英気を養え」と仕事を与え
られずに喰っちゃ寝させられる時点で、先の予想が確定してしまうと思います。
それが覆る事はありません。
延々、お初の能天気な解釈が続いて、ああ、やっぱりな。と。
読み進めた原動力は読みやすさや、語りの巧みさに加えて、怖いモノ見たさで
した。つまり繭の作られ方の仔細や、絹糸になるまでの工程です。ワイドショ
ー的でちょっと下衆っぽい動機ですが、その点良く構成されていると思います。
ちなみにシラけたのはネーミング。婦操(ふぐり)工場長は許せます。夜狩鳥
(よがりどり)も巧いようなそぐわないような。これもまあいいかな。
ただ、フルチンスキーには一気にシラけた。
小中学生レベルのダジャレじゃあるまいし……。