私事ですが高校生の頃、大の龍馬ファンでこの漫画はもちろん、様々な刊行物を読みあさりました。しかし、今あらためて考えるに、余りにもできすぎた龍馬像に少々、うさん臭さを感じているのも事実です。明治政府で立場のなかった土佐出身の閣僚が亡き龍馬を持ち出し利用して、喧伝して土佐の復権をはかったという事も後々、知りました。薩長同盟なんて、本当に素浪人ひとりでできるものだろうか……そんな心持ちの人間が、改めてこの漫画を読み返して思ったのは、やはり、坂本龍馬は、物語としてほぼ完璧な精度と強度を持ち合わせているということです。読み終えるまでに、土佐郷士の悲劇と、維新回天に夢をはせる若者たちの情熱に、少なくとも10回はボロボロと泣いてしまいました。そして物語は中央突破の美学に彩られています。並み居る敵のど真ん中を単身、悠然と闊歩する龍馬の姿に、言い知れぬ爽快さを感じずにはおれません。史実はどうあれ、それはやはりすごいことだと思うのです。坂本龍馬という人物の誕生から死までを物語として紡いだ書籍は、現在に至るまで、「龍馬がゆく」とこの「お〜い!龍馬」しか存在しません。どうぞ手にとってみてください。極上の物語がここにはあります。