間断なく情報を流し続けることにより、テレビは人間からものごとを考える機会を奪ってしまった。また、視聴率競争により社会の大多数の大衆が好む低俗な内容の番組が幅をきかせることになり、それが権威を獲得して社会の知的レベルを徹底的に低下させてしまうことにもなった。著者の「核爆弾とテレビは二十世紀に同時に生まれた最悪の破壊兵器だった」との言にまったく同意する。核は世の中の一切合切を破壊し尽くす。テレビは人間の精神の一切合切を破壊し尽くす。
この悪夢のようなテレビの呪縛から抜け出す方法は、著者が絶望しきっているとおり、残念ながらありそうもない。対策としては恐ろしくこまごまと規制を定め、厳格に適用する他ないと思うのだが………
ネットで番組を配信するようになれば、テレビ局は消滅して人々がネット上で自由に番組を選ぶ時代になるだろうなどと以前ホリエモンがほざいていたが、そんな時代が来るとはとても思えない。世の大多数の人はアイデンティティーの不安から、社会のオピニオンになる情報源を求めるものである。電波での放送が終了しても、ネット上で有名なポータルサイトにわらわら人が群がることになるだけで、きっと根本的な状況はなにも変わらないだろう。そういえば、既存の地上波のキー局はブランド力があるから、ネット上でもポータルサイト化して生き延びるに違いない。
ネットといえば、最近有害サイトの子供への悪影響が懸念されているが、有害テレビ番組の悪影響ももっと懸念されるべきだ。一日中テレビをつけっぱなしにしている家はホントに多いし、友達との会話の中心になるのも大部分がテレビがらみの話題なんだから、子供に一番影響を与えるのはテレビだろう(親や教師も相当常識感覚を狂わされてる)。そういえば「教科書検定があってなんでテレビ検定がないのか」と誰だかが言ってたけど、強く共感する。