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おん身は花の姿にて―網野菊アンソロジー
 
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おん身は花の姿にて―網野菊アンソロジー [単行本]

網野 菊 , 山下 多恵子
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商品の説明

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

網野 菊
1900年、東京生まれ。志賀直哉を生涯の師と仰いだ女流作家。幼少時に実母と離れ、以後三人の継母に育てられた経験をもとに、自らの身辺を描いた私小説的作風で知られる。その一方、ロシア児童文学の翻訳なども手がけた。1962年「さくらの花」で芸術選奨文部大臣賞、女流文学賞、68年「一期一会」で読売文学賞、芸術院賞受賞。日本芸術院会員。1978年没

山下 多恵子
1953年、岩手県雫石町生まれ。高校教諭を経て、現在長岡工業高等専門学校非常勤講師。国際啄木学会理事。日本近代文学会会員。『北方文学』同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 285ページ
  • 出版社: 未知谷 (2011/02)
  • ISBN-10: 4896423275
  • ISBN-13: 978-4896423273
  • 発売日: 2011/02
  • 商品の寸法: 19.4 x 13.4 x 3 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 992,036位 (本のベストセラーを見る)
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 網野菊は志賀直哉門下の女性作家です。ご存知の方は少ないはずです。網野の名は、文学関係の目録でさえ記載されているのが稀ですから。

 網野を知ったのは、筑摩現代文学大系所収の一冊に壺井栄・幸田文と揃って作品が入っていたからです。ところが結局、網野作品だけが気に入ってしまった。
で、講談社文芸文庫の作品集も増刷しないのかと落胆していたところの、本アンソロジーの未知谷からの出版だったのです。文芸文庫との収録の重複もありますが、文芸文庫版が入手し難い今、あまり問題はないかと。

 網野作品は、今西村賢太さんのおかげで脚光を浴びている「私小説」の一種です。但し網野作品は、現在の読者からしたら幾分辟易ものの、凡庸な記述に終始しています。「項目」にさえならないのも女性学の「研究対象」にしかならないのも肯ける出来、とここで敢えて言っておきます。
 ですが一方で、この欠点を補って余りある豊かな「行間」も感じられます。この「行間」は、実は網野の欠点である「色盲性」と表裏一体のものです。 今言った「色盲性」とは、語り手の視点の単一さ故に、他の視点なら捉えられたはずの対象をそもそも感じないことです。ちょうど、犬が赤色を認識できないように。もともと「(当時の)女」とはこうなのだ、というふうに。網野作品の語り手、そして主人公はそんな「色盲」の生を、疑らずに実直に生きている。それが例えば、語り手による愚直な程の主人公の感想、印象の記述の列挙なのです。だからこそ読み手には、語り手に見えず読み手には見えるものを明確に意識することができます。これが網野作品の花、「行間」なのです。網野にしてみたらこんなのきっと不本意な花に違いありませんが。

 実はこの「色盲性」の存分な働きこそが「私小説」なのだ、と提案してみることにします。これも志賀直哉になると「世界は誰の目にも白黒だ!」位に図々しいのですが、網野作品にはそういった図々しさはない。優れている所以はそこに尽きる、と思うのです。

 ところで、先に「辟易もの」とまで言ったのは、「行間」を読める自信のある方には是非読んでほしいけれど、それ以外の方はちょっと、という思いからです。レビューの題の意味がわかっていただけたなら…
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